「Lost in Translation」

Lost in Translation

 初日は満席で入れなかったのですが、この日は映画館の5%位しか人が入ってませんでした。
 「ロスト・イン・トランスレーション」は、CF撮影のために来日した中年俳優(ビル・マーレイ)と、忙しい夫に相手にされない新妻(スカーレット・ヨハンスン)が東京のホテルのバーで出会って友情関係を築くという、一種のラブストーリーです。日本の描き方には誇張も見られますが、「短期滞在の外国人が見る日本」としては非常にリアル。しかし東京は単なる舞台設定に過ぎず、この映画が秀逸なのは、地理的・文化的な喪失感と、外界とのチャネルが切断されたときに自覚される自分自身の喪失感とをしっかりだぶらせていることです。それから、ラストシーンでは映画における音楽の力の大きさを実感しました。最後に気持ち良く全てを洗い流してくれた感じです。
 また、在外邦人としてこの映画を見るというのは興味深い体験でした。在外邦人はこの映画を見るときにねじれた立場に立たされます。自らは逆に海外で主人公の立場にいる一方で、観客には分からない筈の日本文化及び日本語が全部理解出来ます。また、ホテル内部以外の全てのシーンが東京在住だった人の郷愁を誘わずにいられなし、日本の描かれ方も気になります。この辺が、この映画に関する日本人の文章がWEB上に溢れている理由ではないでしょうか。
★★★★★