学校の図書クラブもの3冊

ぼくは落ち着きがない

ぼくは落ち着きがない

★★★★☆
 こういった所謂「青春物」が面白いと感じるかどうかは、自分の青春時代とどれだけ近いか、というのが大きな軸となろう。筆者の通っていた学校に図書部や文芸部は恐らく存在していなかったと思われるし、筆者は運動部に所属していたのだが、本書での文化部のまったり感や高校生の「落ち着きの無さ」は結構楽しめた。大事件が起こるわけではないのだが、わくわくする高校生の日常が流れるように進む。作者がメタ小説的に登場したり、ヘナチョコな作中小説があったりと、凝った仕掛けも多く、カバー裏には後日談というギミックも。(図書館利用者への嫌がらせか?筆者はカバー裏だけ本屋で立ち読みした。)


図書館の神様

図書館の神様

★★★☆☆
『思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。…「垣内君って、どうして文芸部なの?」「文学が好きだからです」「まさか」!…清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。』(「BOOK」データベースより)
 唯一の文芸部員垣内君は、こんな奴いないってくらい大人びた存在だが、その飄々とした存在感が際立っている。弁論大会でも文学が好きだと堂々と語る垣内君は、読者の圧倒的な支持を受けるように出来ている。


青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

★★★☆☆
『東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。』(出版社 / 著者からの内容紹介)
 宝塚やライトノベルのように現実離れしたお嬢様学校で起こる事件は、耽美の皮をかぶりつつ、意外に健康的でキュート。当然ながら突っ込みどころ満載だが、これもマジックリアリズムと思って読めば楽しい。


 ところで、「図書館の神様」の垣内君の呼んでいる本は、川端などいかにも文芸部員っぽい。一方、「ぼくは落ち着きが無い」の図書部員達はマンガやライトノベルがメインで、外国文学なんかにも手を出している主人公は多少異端児らしい。垣内君の存在がかなり浮世ばなれしているのに比べ、図書部員達はリアルっぽい。また話はズレるが、「青年のための読書クラブ」を検索してみたら、大学読書人大賞というのにランクインしていた。作者の桜庭一樹ライトノベル出身で、件の大学読書人大賞にも多くのライトノベルがランクインしている。イマドキの学生は、例え「図書部」や「読書人」であっても、ライトノベルが主流派なのだろうか。そういう人達には、多少カッコつけてジョイスとかプルーストとか哲学書なんかを読んでいて欲しいと個人的には思うのだが。