「ザ・ロード」

ザ・ロード

ザ・ロード

★★★★☆
 恐らく核戦争後の荒廃した世界という設定自体はありがちなのだが、そこを旅する父子とその灰色の世界のイメージが、ぽつりぽつりと交わされる「」のない会話や、読点のほとんどない地の分によって研ぎ澄まされていく。傍らに暴力が過ぎ去っていくような不思議な荒涼感の中で、ぐるぐる回る「善き人」や「火を運ぶ」という言葉のイメージ。映画化も決まっているようだが、映画に毒される前に読むべし。